2012年5月10日木曜日

頭の知恵袋 Doctors Blog 医師が発信するブログサイト


たばすこ様から詳しい体験を寄せていただきました。ご本人の了解を得てブログ内で掲載させていただきます。

たばすこ様、掲載が遅くなって申し訳ありませんでした。

 

<以下たばすこ様の体験です。そのまま掲載させていただきます> 

私は27歳、男性、学生です。
学校は北海道ですが、実家は栃木県と離れているため、里帰りには毎回札幌の新千歳空港から福島空港まで、飛行機を使っています。

私の場合、頭痛は無く、眼窩の周囲、特に眼球の上や眼窩下神経(特に眼窩下孔の辺り)が痛くなります。神経が膨張して破裂してしまうのではないかとすら思ってしまいます。

実は本日、8月22日も飛行機に乗り、福島空港から北海道へと帰ってきたところです。
今回症状は出ませんでした。
本日は飛行機搭乗前にビールを飲み、食事もお腹一杯頂きまして、機内でもコンソメスープを飲みました。
搭乗率30%くらいで、私は後ろから2番目の席でリラック� �して帰ってきました。

着陸前はトイレに行き、席に戻ってからは首の体操などをして様子をみていました。
水分が多い程症状が出易いと思っていたのですが、まだお腹に水分が残っている感じがあったので、
それも疑わしくなってしまいました。
ただ、トイレに行ったことでリラックスはしましたし、そのとき出そうな分は出したので、
トイレに行くことはやはり予防になるのではないかと考えています。

また、症状は「北海道→実家」のときに多く、「実家→北海道」のときは少ないような気がします。
「北海道→実家」のときは、実家に戻る緊張感のようなものがあり、若干神経質になっています。
時間は17:45札幌出発→19:00福島空港着です。
一方、「実家→北海道」のときは、一人� �らしの家に帰るので気が楽で、時間は19:30福島出発→20:50札幌着です。
栄養のバランスでいえば、「北海道→実家」のときはあまりよくないかもしれません。
「実家→北海道」のときはばっちりです。
機内ではどちらの場合も大体勉強するか新聞を読むか、そのどちらかをして過ごしています。

最近症状が出たのは、今年2007年の8月6日に「北海道→実家」のときで、機内は満員、
翼近くの席で3人がけの通路側に乗り、新聞を読みながらも少し窮屈さを感じていました。
着陸前はトイレに行かず、症状が出てから脚の曲げ伸ばしや伸びなどを行いました。
症状は少し和らいだと思いましたが、実はその日の夜まで右の眼窩下神経は痛んでましたし、
翌日も違和感が残っていました。
� ��しかするとマッサージと思いながら眼窩下孔を押し過ぎたのかもしれませんが、
痛みがこれ程長引いたのは今回が初めてです。
ネットでこれらの症状を検索しようと思ったのも、この8月6日の症状が酷かったせいです。


腫瘍熱

症状と水分との関係や、脚の曲げ伸ばしなどはロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)の
予防策からヒントを得てやってみました。
激痛ですが圧痛はないので、眼窩周囲も闇雲にマッサージしてみています。
しかし、やはり効くのはトイレとストレッチな気がします。

初めて症状が出たのは21歳のとき、イタリアのローマからフィンランドのヘルシンキへ行く飛行機の中で、
そのときも満員の飛行機の通路側に座っていました。
フィンランドに姉が住んでおり、やっと一人旅から解放されると思い、比較的リラックスして眠っていました。
とはいえ、自覚が無いだけで緊張感は「北海道→実家」の比ではなかったと思います。
眠って� ��たら突然眼球周囲に激痛がきて、そのときは頭痛も少しあり、眼に涙がたまっていきました。
何が起きたかよくわからず、機内が乾燥しているのかとも思いましたが、とにかくわからず耐えていました。

余談ですが、母に相談したところ、それは眼圧上昇で、確か鼻の頭が赤いのも標準体重がオーバーしているとなるんだとか、
ラジオで福島県郡山市にある漢方薬局の人が言ってたよ、などと言っていたので、
インターネットでその薬局を検索したりして調べたのですが、結局よくわかりませんでした。

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 wakuwakusky様から下記のような飛行機頭痛の体験を寄せていただきました。ご本人の許可を得てブログ内で紹介させていただきます。

年齢・性別:40代、男性
発生時:着陸時・高度を下げ始めたとき
空港:羽田空港
頭痛の場所:右眉尻からコメカミにかけてと右目の奥
頭痛の性質:皮膚が破裂しそうなずきずき感。血管が破裂するような感じ。右目奥は鈍痛。
頭痛以外の症状:鼻づまりあり。着陸後鼻をかむと血の塊が出てきた。
経過:CAに頼んでバファリンを飲み、20分位し着陸してから回復。帰宅後も眉尻からこめかみの間に痛みの余韻が残った。
既往:7~8年前に2回ほど、同様の症状があ� �、いずれも羽田空港。鼻に関する疾患の既往はない。
誘因と思われること:仕事が多忙で、睡眠不足と軽い疲れを感じているとき。搭乗前にビールを飲んだこと。
その他:コーヒーは好きであるが、機内ではコーラを飲んだ。タバコは15年前に禁煙している。

<コメント>これまでの論文では鼻の奥の粘膜の腫れた感じがあった症例が1例報告されています。着陸後鼻をかむと血の塊が出てきたという事実はこの頭痛のメカニズムを推測する上で大変に参考になります。


猫のワクチン麻痺

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かつまた様より、下記のように貴重な体験をコメント欄にいただきました。かつまた様のご許可を得て、ブログ記事内で紹介させていただきます。

<症状>
*34歳、男性
*喫煙あり:1日10本程度
*飛行機搭乗頻度:ほぼ毎月
*過去着陸経験のある空港
羽田空港、成田空港、新千歳空港、女満別空港、関西国際空港、鹿児島空港、新北九州空港、那覇空港、久米島空港、台湾桃園国際空港、中国上海浦東空港、北京首都国際空港、上海虹橋空港、韓国仁川国際空港、韓国金浦国際空港、中国重慶空港、中国黄岩空港、中国アモイ空港、中国広州白雲空港、中国西安咸陽空港、中国成都双流空港、オーストリアウィーン国際空港など
*飛行機頭痛の発症した空港
鹿児島空港、台湾桃園国際空港、那覇空港の� ��カ所のみ
*搭乗時の飲食等
飛行機搭乗前、搭乗中ともに一切飲酒はしておりません。
搭乗前にいわゆるタバコの吸いだめ(苦笑)をします。
それとコーヒーが好きで、一日に何杯も飲みます。搭乗中も同様です。
*痛みの発生する部位
眉間右側(正面からみて左側)及び右眼球裏周辺。常に同じ部位です。
着陸時のみ発症し離陸時には発症しません。
*過去罹患した病気
蓄膿症(10歳頃)
眼球角膜損傷(20歳頃)

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 以前このブログで『飛行機頭痛』について書きましたところ、数人の方からコメントをいただきました。私自身も最近始めて経験し、ひょっとして頭痛の原因がわからず、不安なまま飛行機に乗っている方が多いのではないかと思い、最近の論文などを読んで詳しく病気について書いておこうと思います。

 飛行機頭痛は英語ではairplane headacheといいますが、これで医学文献を検索したところ主要な論文は3編しかありませんでした。それらをまとめても現在までに論文で報告されている症例数は10例以下です。しかしそれは病気になる頻度が低いというより、後述しますようにすぐによくなるために病院を受診しない人が大半であるからだと思います。

 MainardiらはJournal of Headache Pain (2007)の中で、飛行機頭痛の特徴を8点にわたって記述しています。

 ①これまで報告された症例はすべて男性である。(しかしこれは症例が少ないために男性の病気だとは断定できません。実際、キャビンアテンダントの方が同様な頭痛を経験され、私のブログにコメントを送ってくださっています。ビジネスマンなど飛行機を利用する頻度が男性のほうが圧倒的に多いからかもしれません。)


体重減少と視床下部腺

 ②痛みの起こる部位は片方に偏っている。(なぜかこれまで報告されている部位は圧倒的に右が多いのですが、これも症例数が少ないため、断定的なことはいえません。しかし再発するときのいつも同じ側の同じ場所であることがほとんどです。)

 ③痛みの起こる部位は目の周り(眼の奥、眉毛のあたりなど)が大部分である。

 ④痛みの持続時間は20分以内であり、突然スーッと良くなる。

 ⑤頭痛以外の症状は伴わないことが多いが、鼻が詰まった感じや同じ側から涙がでるなどの症状が報告されている。

 ⑥発症年齢は平均31歳で、20歳~40歳である。

 ⑦痛みは大部分が着陸時に起こる。(頻度は少ないですが離陸時にも起きます。)

< p> ⑧必ずしも頭痛持ちの方に起こるとは限らない。

 原因は正確にはわかりませんが、一番考えやすいのは副鼻腔の問題です。副鼻腔の中でも頭痛が起こる場所から考えて目の奥にある篩骨洞が関与していると考えて間違いないと思います。着陸および離陸時に大気圧が変化しますが、そのときに篩骨洞の中の圧力がうまく開放されないと、篩骨洞内の圧と大気圧との間に格差を生じてこれが篩骨洞の粘膜を刺激し、そこに分布している三叉神経を痛めて神経痛のような激しい頭痛が起こるというメカニズムが最も考えやすいです。篩骨洞に一番関係している三叉神経の枝は上眼窩神経ですが、この神経が分布している領域はまさに頭痛の起きる場所と一致しています。

 なぜいつも同じ側なのかということについては篩骨洞の 構造に右と左で個人差があることによると思われます。

 またなぜ飛行機に乗るたびに毎回起こらないのかということについては、その時々で篩骨洞の粘膜の状態や圧力の変化のスピードが異なっているためではないかと想像されます。

 また私が一番興味を持ったのはほとんどすべての症例は海岸沿いに位置する空港に着陸するときに頭痛が起きており、内陸の都市に着陸するときには起きていないことです。下が海と大陸とでは圧力のバランスが異なっているのではないかと素人の私には想像するしかありませんが、事実としてそのようなことがあります。

 飛行機頭痛は痛みはひどいのですが、最大20分我慢すれば自然にうそのようにスーッと痛みが消えてゆきます。痛んでいるときには重大な病気があるのではと心� �し、病院にいってみようと思います。しかしのどもと過ぎればなんとかで荷物を受け取ったりしているといつの間にか忘れてしまいます。

 飛行機に乗る回数が少ない人は忘れてしまっていいのですが、ビジネスで飛行機に乗るチャンスが多い人には予防策が必要です。飛行機頭痛の対処法として着陸あるいは離陸の30分前に鎮痛剤を服用してくださいと以前のブログに書きましたが、闇雲に飲んでいると鎮痛剤によって体が悪くなりそうです。そこで私なりの対処法を下記のように提案いたします。


 ①海岸沿いの都市に着陸する場合は予防的に薬を飲んでおく。内陸の都市に着陸するときには服薬しないで様子を見る。

 ②風邪を引いているとき、アレルギー性鼻炎がひどいときなどは副鼻腔全体の粘膜もはれていますので、心配なときには予防的に服薬しておく。

 ③これまで報告されている症例はヘビースモーカーが多いことが指摘されています。脳の健康のためにもこの際、禁煙する。

以上です。

 しかし飛行機頭痛の本体は報告されている症例が少ないため、研究が進んでいません。そこで『頭の知恵袋』をご愛読いただいている皆さんから体験談を募りたいと思います。ブログのコメントとしていただければ、それを症例報告としてブログで取り上げさせて いただきます。カテゴリーに『飛行機頭痛』を加えさせていただきましたので探しやすくなると思います。

 これからの時代、飛行機に乗るチャンスはどんどん増えてゆきます。皆さんのお力をお借りして、何とかこの病気のより効果的な対処法を見つけ、安心して飛行機に乗れるようにしたいものです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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 飛行機の着陸時に目の奥や側頭部が激しく痛んで冷や汗をかくことがあります。強い痛みですが、高度が下がるにつれて徐々に起こりますので、突然発症するクモ膜下出血とは区別されます。

 目の下や眉間のところに副鼻腔という頭蓋骨の空洞の部分があります。これがいつもは自然孔で外界と交通しているのですが、飛行機の着陸などのときに副鼻腔の中にある空気が膨張して自然孔が塞がり、副鼻腔が腫れることで頭痛が起こるものと考えられています。

 着陸の30分くらい前に鎮痛剤を飲んでおくと予防できます。

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