精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について
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◆ 精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準
概要、障害等級のめやす:1級、2級、3級
◆ 精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準の運用に当たっての留意事項
総合判定
精神疾患(機能障害)の状態の判定について
統合失調症 そううつ病 てんかん 器質精神病
能力障害の状態の判定について
◆ 精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明(現在のページ)
(1) 精神疾患(機能障害)の状態
@ 統合失調症
A そううつ病(気分(感情)障害)
B 非定型精神病
C てんかん
D 中毒精神病
E 器質精神病
F その他の精神疾患
(2) 能力障害の状態
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◆ 精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明
精神障害の判定基準は、「精神疾患(機能障害)の状態」及び「能力障害の状態」により構成しており、その運用に当たっては、総合判定により等級を判定する。
(1) 精神疾患(機能障害)の状態
精神疾患(機能障害)の状態は、「統合失調症」、「そううつ病(気分(感情)障害)」、「非定型精神病」、「てんかん」、「中毒精神病」、「器質精神病」、及び「その他の精神疾患」のそれぞれについて精神疾患(機能障害)の状態について判断するためのものであって、「能力障害の状態」とともに「障害の程度」を判断するための指標として用いる。
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@ 統合失調症
中央の成人障害
統合失調症は障害状態をもたらす精神疾患の中で頻度が高く、多くの場合思春期前後に発症する疾患である。幻覚などの知覚障害、妄想や思考伝播などの思考の障害、感情の鈍麻などの感情の障害、無関心などの意志の障害、興奮や昏迷などの精神運動性の障害などが見られる。意識の障害、知能の障害は通常見られない。急激に発症するものから、緩徐な発症のために発病の時期が不明確なものまである。経過も変化に富み、慢性化しない経過をとる場合もあり、障害状態も変化することがある。しかしながら、統合失調症の障害は外見や行動や固定的な一場面だけからでは捉えられないことも多く、障害状態の判断は主観症状や多様な生活場面を考慮して注意深く行う必要がある。
なお、「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については、それぞれ以下のとおりである。
(a) 残遺状態
興奮や昏迷を伴う症状は一過性に経過することが多く急性期症状と呼ばれる。これに対し、急性期を経過した後に、精神運動の緩慢、活動性の低下(無為)、感情鈍麻、受動性と自発性欠如、会話量とその内容の貧困、非言語的コミュニケーションの乏しさ、自己管理と社会的役割遂行能力の低下といった症状からなる陰性症状が支配的になった状態を残遺状態という。これらは決して非可逆的というわけではないが、長期間持続する。
(b) 病状
「精神疾患(機能障害)の状態」の記述中に使用されている「病状」という用語は残遺状態に現れる陰性症状と対比的に使用される陽性症状を指している。陽性症状は、幻覚などの知覚の障害、妄想や思考伝播、思考奪取などの思考の障害、興奮や昏迷、緊張などの精神運動性の障害などのように目立ちやすい症状からなる。陽性症状は残遺状態や陰性症状に伴って生じる場合もある。
(c) 人格変化
陰性症状や陽性症状が慢性的に持続すると、連合弛緩のような持続的な思考過程の障害や言語的コミュニケーションの障害が生じ、その人らしさが失われたり変化したりする場合がある。これを統合失調症性(分裂病性)人格変化という。
(d) 思考障害
思考の障害は、思考の様式や思路の障害と内容の障害に分けられる。様式の障害には、思考伝播、思考奪取、思考吹入、思考化声、などの精神分裂病に特有な障害の他に、強迫思考などがある。思路の障害には、観念奔逸、思考制止、粘着思考、思考保続、滅裂思考、連合弛緩などがある。内容の障害は、主に妄想を指すが、その他に思考内容の貧困、支配観念なども含まれる。単に思考障害といった場合は妄想等の思考内容の障害は含まず、主に思考様式の障害を指す。
(e) 異常体験
幻覚、妄想、思考伝播、思考奪取、思考吹入、思考化声などの陽性症状を指す。
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A そううつ病(気分(感情)障害)
ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改正)では気分(感情)障害と呼ばれ、気分及び感情の変動によって特徴づけられる疾患である。主な病相期がそう状態のみであるものをそう病、うつ状態のみであるものをうつ病、そう状態とうつ状態の二つの病相期を持つものをそううつ病という。病相期以外の期間は精神症状が無いことが多いが、頻回の病相期を繰り返す場合には人格変化を来す場合もある。病相期は数ヶ月で終了するものが多い。病相期を繰り返す頻度は様々で、一生に一回しかない場合から、年間に十数回繰り返す場合もある。
なお、「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については、それぞれ以下のとおりである。
(a) 気分の障害
ダイエット減量の高原
気分とは持続的な基底をなす感情のことであり、情動のような強い短期的感情とは区別する。気分の障害には、病的爽快さである爽快気分と、抑うつ気分がある。
(b) 意欲・行動の障害
そう状態では、自我感情の亢進のため行動の抑制ができない状態(行為心迫)、うつ状態では、おっくうで何も手につかず、何もできない状態(行動抑制)である。
(c) 思考障害
思考の障害については精神分裂病の記載を参照のこと。そうやうつの場合には、観念奔逸や思考制止などの思考過程の障害や、思考内容の障害である妄想が出現しやすい。
また、そうまたはうつの病状がある病相期は、長期にわたる場合もあれば短期間で回復し、安定化する場合もある。病相期の持続期間は、間欠期に障害を残さないことが多いそううつ病の障害状態の持続期間である。間欠期にも障害状態を持つ場合は病相期の持続期間のみが障害状態であることにはならない。一般にそううつ病の病相期は数ヶ月で軽快することが多い。
病相期が短期間であっても、頻回に繰り返せば、障害状態がより重くなる。一年間に一回以上の病相期が存在すれば、病相期がひんぱんに繰り返し、通常の社会生活は送りにくいというべきだろう。
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B 非定型精神病
非定型精神病の発病は急激で、多くは周期性の経過を示し、予後が良い。病像は意識障害(錯乱状態、夢幻状態)、情動障害、精神運動性障害を主とし、幻覚は感覚性が著しく妄想は浮動的、非体系的なものが多い。発病にさいして精神的あるいは身体的誘因が認められることが多い。経過が周期的で欠陥を残す傾向が少ない点は、分裂病よりもそううつ病に近い。
なお、ICD-10ではF25.分裂感情障害にほぼあたる。この分裂感情障害とは、精神分裂病性の症状とそううつの気分障害性の症状の両者が同程度に同時に存在する疾患群を指す。
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C てんかん
てんかんは反復する発作を主徴とする慢性の大脳疾患であり、特発性および症候性てんかんに二大分される。症候性てんかんの発作ならびに精神神経学的予後は、特発性てんかんにくらべて不良のことが多い。てんかんの大半は小児期に年齢依存性に発病し、発作をもったまま青年・成人期をむかえる。
てんかん発作は一般に激烈な精神神経症状を呈する。多くの場合、発作の持続時間は短いが、時に反復・遷延することがある。発作は予期せずに突然起き、患者自身は発作中の出来事を想起できないことが多い。姿勢が保てなくなる発作、意識が曇る発作では、身体的外傷の危険をともなう。
発作に加えててんかんには、発作間欠期の精神神経症状を伴うことがある。脳器質性障害としての知的機能の障害や、知覚・注意・情動・気分・思考・言語等の精神機能、および行為や運動の障害がみられる。発作間欠期の障害は小児から成人に至る発達の途上で深甚な修飾をこくむる。それは精神生活の脆弱性や社会適応能力の劣化を引き起こし、学習・作業能力さらに行動のコントロールや日常生活の管理にも障害が現れる。てんかん患者は発作寛解に至るまで長期にわたり薬物治療を継続する必要がある。なお、「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については、それぞれ以下のとおりである。
(a) 発作
てんかんにおける障害の程度を判定する観点から、てんかんの発作を次のように分類する。
イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作
ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作
疼痛管理と電磁界
ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
(b) 知能障害
知能や記憶などの知的機能の障害の程度は、器質精神病の認知症の判定基準に準じて判定する。
(c) その他の精神神経症状
その他の精神神経症状とは、注意障害、情動制御の障害、気分障害、思考障害(緩慢・迂遠等)、幻覚・妄想等の病的体験、知覚や言語の障害、対人関係・行動パターンの障害、あるいは脳器質症状としての行為や運動の障害(たとえば高度の不器用、失調等)を指す。
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D 中毒精神病
精神作用物質の摂取によって引き起こされる精神および行動の障害を指す。有機溶剤などの産業化合物、アルコールなどの嗜好品、麻薬、覚醒剤、コカイン、向精神薬などの医薬品が含まれる。これらの中には依存を生じる化学物質が含まれ、また法的に使用が制限されている物質も含まれる。
なお、「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については、以下のとおりである。
(a) 認知症、その他の精神神経症状
中毒精神病に現れる残遺及び遅発性精神病性障害には、フラッシュバック、パーソナリティ障害、気分障害、認知症、妄想症などがある。器質精神病の認知症、その他の精神神経症状を参照のこと。
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E 器質精神病
器質精神病とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中毒(一酸化炭素中毒、有機水銀中毒)、中枢神経の感染症、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる精神疾患であって、従来、症状精神病として区別されていた疾患を含む概念である。ただしここでは、中毒精神病、精神遅滞を除外する。
脳に急性の器質性異常が生じると、その病因によらず、急性器質性症候群(AOS)と呼ばれる一群の精神症状が見られる。AOSは多彩な意識障害を主体とし、可逆的な症状である場合が多い。AOSの消退後、または潜在性に進行した器質異常の結果生じるのが慢性器質性症状群(COS)である。COSは、知的能力の低下(認知)と性格変化に代表され、多くの場合非可逆的である。COSには、病因によらず、脳の広範な障害によって生じる非特異的な症状と、病因や障害部位によって異なる特異的症状とがある。巣症状等の神経症状、幻覚、妄想、気分の障害など、多彩な精神症状が合併しうる。
初老期、老年期に発症する認知症も器質性精神症状として理解される。これらのうち代表的なアルツハイマー型認知症と血管性認知症を例にとると、血管性認知症は、様々な原因でAOS(せん妄など)を起こし、そのたびにCOSの一症状としての認知症が段階的に進行する。アルツハイマー型認知症では、急性に器質性変化が起こることはないので、AOSを見る頻度は比較的少なく、COSとしての認知症が潜在的に発現し、スロープを降りるように徐々に進行する。
なお、「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については、それぞれ以下のとおりである。
(a) 認知症
慢性器質性精神症状の代表的な症状の一つは、記憶、記銘力、知能などの知的機能の障害である。これらは記憶、記銘力検査、知能検査などで量的評価が可能である。
(b) その他の精神神経症状
その他の精神神経症状には、意欲発動性の低下または病的高進、気分障害、情動制御の障害、思考障害、幻覚・妄想等の病的体験、人格レベルの低下など、様々な精神症状のほか、精神機能の発現、日常生活行動の遂行に影響する、大脳巣症状のような神経症状がある。
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F その他の精神疾患
その他の精神疾患にはICD-10に従えば、神経症性障害、ストレス関連障害、成人の人格および行動の障害、食行動異常や睡眠障害を含む生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群、心理的発達の障害、小児(児童)期および青年期に生じる行動および情緒の障害などを含んでいる。
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(2) 能力障害の状態
「能力障害の状態」は、精神疾患(機能障害)による日常生活あるいは社会生活の支障の程度について判断するものであって、「精神疾患(機能障害)の状態」とともに「障害の程度」を判断するための指標として用いる。、
この場合、日常生活あるいは社会生活において必要な「援助」とは、助言、指導、介助などをいう。
@ 適切な食事摂取や洗面、入浴、更衣、清掃など身辺の清潔保持
洗面、洗髪、排泄後の衛生、入浴等身体の衛生の保持、更衣(清潔な身なりをする)清掃などの清潔の保持について、あるいは、食物摂取(栄養のバランスを考え、自ら準備して食べる)の判断などについての能力障害の有無を判断する。これらについて、意志の発動性という観点から、自発的に適切に行うことができるかどうか、援助が必要であるかどうか判断する。
A 金銭管理や適切な買い物
金銭を独力で適切に管理し、自発的に適切な買い物ができるか、援助が必要であるかどうか判断する(金銭の認知、買い物への意欲、買い物に伴う対人関係処理能力に着目する)。
B 規則的な通院・服薬
自発的に規則的に通院・服薬を行い、病状や副作用などについてうまく主治医に伝えることができるか、援助が必要であるか判断する。
C 適切な意思伝達や協調的な対人関係
他人の話を聞き取り、自分の意思を相手に伝えるコミュニケーション能力、他人と適切につきあう能力に着目する。
D 身辺の安全保持・危機対応
自傷や危険から身を守る能力があるか、危機的状況でパニックにならずに他人に援助を求めるなど適切に対応ができるかどうかを判断する。
E 社会的手続きうや公共施設の利用
各種の申請など社会的手続きを行ったり、銀行や福祉事務所、保健所などの公共施設を適切に利用できるかどうか判断する。
F 趣味・娯楽等への関心、文化的社会的活動への参加
新聞、テレビ、趣味、娯楽、余暇活動に関心を持ち、地域の講演会やイベントなどに参加しているか、これらが適切であって援助を必要としないかどうか判断する。
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